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塗料の構成  2、塗料の硬化

2、塗料の硬化

 
塗装は、液状のものを薄い膜にして、短時間に固まらせる必要があるので、様々な化学的、物理的反応が応用されている。

 
硬化する温度により分類すれば、高温で硬化する塗料と常温で硬化する塗料がある。

 
高温で硬化させる塗料には、熱硬化型アクリル樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料等があり、その用途は、工場で量産される自動車や家庭電化製品の比率が高く、建築材料では、金属サイディング材等の仕上げに使われている。

 
外壁の現場塗り替え用の塗料には、当然のことながら、常温で硬化する塗料が使われ、アクリル樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料、アクリルシリコン樹脂塗料がある。

 
また、現場に供給される形態により、2液型と1液型がある。

 
2液型塗料は、塗装の直前に主剤と硬化剤を混ぜ合わせて塗布し、2種類の液を反応させて硬化させる。

 
一方、1液型塗料は、基本的に溶媒が揮発することによってビヒクルが硬化するものであり、現場では混ぜ合わせをしないで簡便に使用出来るメリットがある。

このような「硬化」の過程を化学的原理、物理的原理により整理すれば、次のように分類することが出来る。

 
一硬化方法の分類一
区分        塗膜形成過程                    塗料の例
揮発       希釈材が蒸発して塗膜が硬化          ラッカー 塩ビ塗料 アクリル樹脂塗料
酸化       空気中の酸素を吸収して重合硬化        ボイル油
重合       主剤に加えられた硬化剤が反応して硬化     ウレタン樹脂塗料 エポキシ樹脂塗料
揮発酸化重合   希釈剤が蒸発後酸素を吸収して重合硬化     フタル酸樹脂塗料 サビ止めペイント
揮発重合    溶媒が蒸発し分散していたポリマーが反応硬化  水系アクリルウレタン塗料
分散粒子融合  溶媒が蒸発し分散していた樹脂が融着      アクリルエマルジョン塗料 NAD塗料

 
これらの硬化方法の内、最近の外壁塗装に使われる塗料の各種の化学反応には、「重合」が最も重要な役割をしている。

 
重合とは、簡単な構造の低分子(モノマー)の分子と分子をつないで結合させ、分子量の大きな高分子(合成樹脂)をつくる化学反応をいい、合成される化合物をポリマーという。

 
重合させる場合、加熱することによって分子が結合し、高温硬化させるものは、焼付け塗料と呼ばれている。

 
通常の温度条件下で塗装する外壁塗り替え塗料の場合は、一般的なアクリルウレタン塗料のように、主剤(A液)と硬化剤(B液)を混ぜ合わせると反応し重合させる2液反応硬化塗料がある。

 
この塗料の主剤と硬化剤は、反応前は、低粘度の低分子量の高分子(プレポリマー)のため素地に浸透し、その後で硬化するので弱い基材を補強し、吸水性を抑える働きがある。

 
このタイプの塗料は、2液を混ぜ合わせると反応が始まり、硬化が進んでいくので一定の時間内に塗り終わる必要がある。
このゆとり時間を「ポットライフ」、あるいは、「可使時間」といい、塗料ごとにその時間が指定されている。

 
また、最近では、例えば、同じアクリルウレタン塗料でありながら、1液反応硬化型塗料が販売されており、使いやすく、性能的にも2液性に近い性能を発揮するので、溶剤を使わない塗料として、需要が伸びている。

 
これは、溶媒として使われている水分が蒸発すると反応硬化するものであり、水中に、主剤と架橋剤が分散していて、水分が蒸発すると反応するように設計されている。

 
このような化学的、物理的反応を安定して行うためには、原料が微粒子状になって均一に混じりあっていなければならない。

 
この化学的現象を「分散」といい、本来は水に溶けない乾性油や樹脂状物質、あるいは、顔料を界面活性剤のような乳化剤の作用によって水の中に分散させるものであり、科学的には「分散状態」と言う。

 
これは、樹脂や顔料等が液状になっているが、溶融しているのではなく、牛乳のように、2つの液体が溶け合わず、どちらかが小滴状に分散している現象である。

 
この現象を応用したエマルジョン型塗料は、溶媒の中に固形分が分散しており、塗装すると水分が蒸発し、樹脂分が融着して膜を作る。

 
このような「分散粒子融着」により硬化するエマルジョン塗料は、古くは、牛乳の主たんぱく質であるカゼインを主原料として作られた時代があったようであるが、現在は、モノマー、乳化剤、水、重合触媒を混合して加熱し乳化重合させたポリマーと可塑剤を混合したものに、別に、浸潤剤、分散剤等の添加剤を加えて前練りした顔料ペーストを加えて作られる。

 
この塗料は、水を溶媒としているので、環境にやさしく、塗装工具類の掃除が簡単なために家庭用塗料にも幅広く使われている。

 
JISK5663 には、1種外部用、2種内部用、3種天井用として品質規格が定められており、耐候性や色持ちが優れているので「分散」技術を応用した代表的な外装用塗料であると言えるが、一般的に耐候性が低いので外部に使われることが少なくなっている。

 
外部に使われるものには、硬質モノマーを使った有光沢合成樹脂エマルジョンペイントがあり、塗膜が硬質のため、一般の合成樹脂エマルジョンペイントにくらべても、汚れが少なく耐水、耐アルカリ性に優れているので、従来の溶剤系アクリル樹脂塗料に代わって、外壁塗装の仕上材として使われており、この塗料の品質は、JISK5660 つや有合成樹脂エマルジョンペイントとして規格化されている。

 
そして、このエマルジョン技術は、塗料の生産に幅広く応用されており、「弱溶剤」あるいは、「NAD」と呼ばれる塗料も開発されている。

 
NAD とは; Non Aqueous Dispersion(非水ディスパージョン)の略称であり、この塗料は、溶剤の中に重合体(ポリマー)が分散して液状になっており、溶剤が揮発して硬化する。

 
溶剤分が少ないので、臭いが少なく、「たれ」も少ないので作業性がよいことや、塗り替える時に、既存の塗膜を傷めない(耐リフティング性)という特性がある。

 
リフティング現象は、塗料を塗り重ねした時に、上の塗料に含まれる溶剤によって、下の塗膜が膨潤し、その膨潤力が付着力より強くなって塗葉が浮き上がり、縮みを起こす現象をいう。

 
溶剤は、塗装に欠かせない化学品だが、強い溶剤は、下地を傷めるばかりでなく、引火、爆発、中毒の危険性も高まることになるので、この技術を応用したエマルジョン塗料や弱溶剤塗料は、作業環境の改善に寄与し、地球環境の保護にも貢献していると言える。

 

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