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塗料の構成  3、塗膜の付着

3、塗膜の付着

 
塗装の最大の目的は、物体を美しく保ち、その性状を保護することにあるが、そのためには、液状の塗料が硬化して膜状になった後、物体にしっかりと付着していなければならない。

 
付着力の良し悪しは、塗料の特性を評価する上で非常に重要な問題であり、なぜ付着するのか、どれだけの力で付着しているのかということについて種々の理論的な考察が発表されている。
これらの理論は単純明快ではないので、簡単に理解することは容易でないが、要約すれば、基本的には「分子間の引力」であると言われている。

 
分子間の引力とは、オランダの物理学者であるファンデルワールスが、分子論的な考え方から解明したものであり、「ファンデルワールスカ」と呼ばれている。
他の分子同士の結合にくらべてファンデルワールス力は非常に微弱な結合エネルギーであるが、付着する物質(ポリマー)の分子量が非常に多いので、個々の分子の極性基同士が引き合うことにより異なる分子を結合させるエネルギーとなっている。

 
これらのエネルギーを理論計算すると、その力は、1トン/c㎡以上の大きな力になると言われている。

 
これに対して、実際の付着力は、塗装粘着力検査計(アドヒージョンテスター/エルコメーター)を使って測定することが出来るが、その測定値は、バラツキが大きく、その値は理論値の10~100分の1に過ぎない。

 
このアドヒージョンテスターによる測定は、小さいドリー(当て盤)をエポキシ系接着剤により塗膜面に接着後、引き剥がす力を実測するのでばらつきが大きく、当然のことながら、理論値と実測値の差異が発生するわけであるが、大切なことは、次のことである。

 
すなわち、塗料(塗膜)については、液体が乾燥し、高分子化するにつれて、粘性が下がり硬化収縮しつつ極性が変化することが考えられる。

 
一方の被着体については、その材料の界面(表面)性状の違いが大きい要因であり、測定値に与える影響力は塗膜よりもはるかに大きいものと推測され、表面性が良くない場合は、活性化された極性基が減少し、極端にファンデルワールス力が働かなくなってしまうことになる。

 
従って、塗装に先立って、表面を清浄にすることが非常に重要であり、言い方を変えれば、どんな高性能塗料を塗布したとしても、表面に油脂成分や汚れがある場合は、その性能を十分に発揮できないということである。

  
また、付着面の表面の粗さも大きな影響を与えるので、金属面の塗装をするとき、塗装前にサンドペーパーにより表面を粗にする作業が行われる。
ただし、表面の粗さ(凸凹)が大きすぎると気泡が入ることになり、そして、均一な膜厚と強度のある塗膜が付着しないことから、付着力は低下することが推測されるが、ある程度小さい凸凹の粗さならば、粗くなるとその接合面の表面積が大きくなるので、付着力が増すことになる。
既存の塗膜の上に塗る場合は、汚れをとり、チョーキングの粉や錆を完全除去しておく必要があり、また、既存の塗膜自体も素地に密着していなくてはならないということになる。

 
外装用塗料の付着性能については、塗装対象となる多様な下地の特性、及び、苛酷な環境条件を配慮した試験により評価されている。
一般的には、表に示すような試験が行われており、負荷を一定時間かけた後、碁盤目剝離試験を行った後、剥離のないことが性能条件となっている。

 
試験項目             試験方法                      基準

耐水性試験      20℃ 水道水浸漬720時間後基盤目剥離試験           剥離なきこと
耐アルカリ性試験   飽和水酸化カルシウム溶液に240時間浸漬後碁盤目剥離試験     剥離なきこと
耐酸性試験      5%硫酸浸漬後碁盤目剥離試験                                                  剥離なきこと

 
各塗料メーカーのカタログに、これらの評価結果が示されているが、試験方法は JIS 規格で定められた方法であっても、試験液に浸漬する負荷時間は一定ではない。
カタログに「異常なし(◎)」と表示されていても、どのような条件で異常がないのか注目するべきである。
カタログに表示している試験条件には、10日間(240 時間)浸漬の場合、30日間(720 時間)浸漬の場合もあることを認識していなくてはならない。

 

 

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