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『柱だけ太くてはさまにならない』

お施主さんの中に、よく、「多少、金がかかっても、柱だけは太いものを使ってください」
という方がある。確かに、柱が太くなれば、構造のうえからは丈夫になるに決まっている。
先だっても、公庫仕様の相談会があって、その席で、大学の建築関係の先生から、「柱を太くしたらどうか」と提案があった。
だが、柱を太くすれば、必然的に鴨居から、天井の回り縁から、全部が大きくならなくちゃ、格好がとれない。
そうなると、非常に金がかかる。そのあたりが先生方にはわからないから、柱だけのことでおっしゃる。
特に和室は柱を見せる真壁が多いから、バランスがとれないとまずい。
柱だけ太くて、ほかの造作材が細くては、見てくれが悪い。
だいたい、柱を太くすれば、それだけで丈夫になるという、短絡的な考え方もちょっと気に入らない。
柱はただ太ければよいというものではないのだ。それより、性(しょう)のよいものを選ぶことこそ大事だろう。どんなに太くても、白太では力がない。
柱の癖をのみ込んでうまく使いこなせば、太さ細さに関係なく、力を発揮させることができるものだ。
例えば、通し柱。できれば癖のないものを使うのが常道だが、まったく癖のない柱などはない。
山にあるときに、日なたに面した部分と日陰の面では当然生育具合が違う。
製材してからでもその癖はもっている。ちょっと見には、どの柱も真っ直だが、よくよく観察すると、わかるかわからないかぐらいの微妙さだが反りがある。
そんなときは、反ったほうを互いに向かい合うように立ててやる。
こうすると、四隅の柱同士が引っ張り合うので、丈夫になる。柱を仕入れるとき、私らはそんなところを計算に入れて、通し柱にうってつけだと思う柱に目をつける。
これは、もう棟梁の経験というかセンスでしかないのだが……。
が、そんな芸当を若い者に要求するのは無理かもしれぬ。
昨今の大工は、木をじっくり腰をすえて眺めることをしなくなった。だから、いつまでも木の性がわからない。
件の大 大学の先生と同じで、太ければ丈夫だろう、という考えだ。「よくせき、木を見なくちゃいけない」
若い者に、毎日、口がすっぱくなるほど言っている。
木をじっくり眺めれば、木の力を存分に発揮させるにはどうしたらよいか、おのずとわかってくるものだ。削りも大事だ。
釘打ちも大事だ。しかし、大工なら木を知ることのほうが、さらに大事だということを忘れてはならぬ。

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