『残しておきたい和室』
2021/02/08
『残しておきたい和室』
われわれの住む家はホテルとは違うことを知っておかなくてはならないだろう。
一泊、二泊するだけの仮の住居と違って、家は当然ながら生活の場だ。
家を新築するような場合、ややもすると、洋間中心で間取りプランを考えがちになる。
お年寄りのいる家ですらそうだ。
最近は昔とは暮らし向きも大分異なり、洋間での生活が増えてきたことは確かだ。
合理的な点も多く、それはそれで悪いとはいうまい。
これからの住居では、洋風の要素もとり入れなくてはならないだろうが、伝統的な日本人の住まい方をまったく無視してしまうと、長い間には、必ず不都合が生じてくる。
ごろりと横になれる畳の部屋が一つもないというのは寂しい。
暮らしにくくなる。
小さなころから慣れ親しんできた畳は、日本独自の住文化だ。
そして、ベッド、クッション、敷物と三つの機能を果たし、藺草が材料だから、構造上も、湿度の高い日本の風土にマッチした仕組みになっている。
こんな畳のよさをおいそれと、捨ててはなるまい。
ひところは一DKのアパートなどでは、洋間が多かったが、最近は和室にしてほしいという要望がかなりある。
和室のよさが見直されてきたのだ。
洋室がいいというのは一時のことじゃないだろうか。
子どもでもできると、ハイハイするにしても畳がいいに決まっている。
プランを練り終わったら、「この部屋は本当に洋室にしなくてはならなもう一度、検討するのがいい。
どちらでもいいという場合は、迷わず和室にすることだ。
それも硬続きの部屋に。
子どもや孫ができて、彼らが集まってきたときは、襖をとり払って、みんなで一緒に一杯やる家をもったら、おそらくこれにまさる喜びはないはずだから。