『間崩れの設計をしない』
2021/02/11
『間崩れの設計はしない』
本来の在来工法(軸組み工法)の家は、構造上、三尺(約九一センチ)の正倍数で、きちんとおさまるように、非常に合理的につくられている。
畳の寸法も建具も三尺が基準になっているから、回せば六畳も八畳も一側は必ずくっつく。
家族で設計の青写真をつくるときには、中途半端な寸法を使わないで、できるだけ三尺でおさまるようにする。
間崩れ(三尺で割り切れない)がなければ、二階屋などのとき下の柱の線上に、間仕切りや柱が必ずのるものだ。
上と下が合わないときは、要再考。
考え方としては、一階と二階の平面図を重ねたとき、柱と柱の位置が合わさるように工夫するといい。
通し柱になる柱をできるだけ多くしようというくらいの了見で考えたらいい。
通し柱は上と下が合わさらなければ立てられないのだから……。
三尺倍数の基準を無視すると、必要以上に柱を立て、壁をつくらなければならないから、建築費がかさむ。
そればかりでなく、でき上がってから、何となくすっきりしない。
落ち着かない家になる。
それより、間を崩すと部材にも無駄がでる言いたくはないが、軸組み工法をよくわかっていない若僧の設計屋は、四尺五寸だの五尺五寸だの、意気がってやたら間を崩した図面を引いてくる。
一二尺(二間)ですむところを、「一三尺でやってくれ」とくる。
部材は大抵三尺の正数倍でくるから、一三尺の場合、本来なら一五尺の材を仕入れて、一三尺に木どって使うのが建前だが、経費がかさむこともあり、一二尺に一尺を継いですますことも多い。
となると、ほぞを切ってつけ足さなくてはならない。
強い力がかかったら、継ぎ手はいっぺんにやられてしまう。
部材をわざわざ弱らせることになる。
馬鹿な話じゃないか。