『土台には脂の多い部材を使う』
2021/02/22
『土台には脂の多い部材を使う』
ほかの予算はけちっても、土台はけちってはいけない。
土台は布基礎の上に横たわる木材をいうが、これは上からの重みを一手に受ける大事なところだ。
理想をいえば芯のあるヒノキ。
芯まで腐ることはないから、長持ちする。
「土台にはヒノキを使いましょう」というと、それだけでお施主さんは安心されるが、芯のないものではだめだ。
見かけがきれいだからといって、白太(芯のない部分で、辺材、芯去り材ともいう)など使ったらえらいめにあう。
早晩腐ってしまう。
さらにいえば、同じヒノキでも、出(産出地)を選ぶことも大事だ。
お施主さんは出の石確認まではできないだろうから、施工者の良心に任せるしかないが、木を知っている大工なら、出にこだわるものだ。
地方によって、カラマツやクリノキ(上等建築に多い)などを使うこともあるが、一般には昔から、「土台は尾鷲材」といって、紀州(和歌山県、三重県)産のヒノキを一等とする。
これは脂が非常に多いから腐りにくい。
紀州は比較的雨が多いところだから、そうした中で育ったものは、脂が多いというわけだ。
同じ理由で、天竜や木曽あたりの出のものもまず安心して使える。