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『質を選べば外材も悪くない』

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『質を選べば外材も悪くない』

『質を選べば外材も悪くない』

2021/02/25

『質を選べば外材も悪くない』

日本の住居だから、土台や柱材は日本の風土の中で育った、日本の木を使うのが一番いい。

日本の木に勝るものはない。

昔はみんなそうやって建てていた。

気候風土にあった木を使っていたから、家が長持ちした。

原則論では確かにそのとおり。

異論を挟むつもりはないが、時代が変わった。

そうとばかり言っておられないのが実状だ。

私も何もかもすべての材料を内地材にしなくてはいけない、というつもりはない。

土台や風呂場、台所などの水回り、地面からの湿気が上がってくる下回りさえ、芯のあるヒノキなどのしっかりした、内地産の部材を使っておけば、上のほうは外地材でも一向にかまわないと思っている。

いたずらに內地材にこだわることはおかしい。

內地材一辺倒にする必要はない。

地方には今でも山をもっている人がいて、わが山の木を切って使うことが、現にあるようだが、都市部ではできない相談だろう。

ただし、外材も質を吟味して使わなくてはいけないということだ。

むろん、内地材にしてもそうだが……。

例えば、梁。

このごろではアメリカマツがよく使われるが、目(年輪)が粗いと駄目だ。

つんでいないといけない。

目が粗いのは、木の育ちが速いということで、木に力がない(やわらかい)。

昔からの知恵で、私らは楽に曲がったマツをよく用いる(上部荷重に抵抗させている)が、それほど力がかかるところだ。

やはり、年数のたった目のつんだものを使っておかないと、垂れてきてしまう。

大工の手間からいえば、目が粗く、やわらかい木ほど楽な木はない。

刻むにも、打つにも力がいらないから、骨惜しみするにはもってこいだ。

そんな了見の大工にかかったら、ひどい目にあう。

柱材など縦の材料は、狂いの点ではそれほどおかしくならないが、梁、桁、胴差しなど横の材料はよくよく選ばないといけない。

外材を使う場合は特に要注意だ。

ところが、近ごろは材料の吟味もろくにできない大工が少なくない。

梁だけに限らず、木の性質をのみ込んだ大工でないと、いくらよい材料を使っても(金をかけても)、よい家は建たない。

木を知るということは、やはり、切ったり、削ったり、孔を彫ったりすることで覚えていくしかない。

外見だけ、知識だけで、一朝一夕に見極められるものではない。

となると、お施主さんの対策としては、住宅を何軒も手がけた、経験豊かな大工を選ぶということに尽きるだろう。

「もう何十年にもなるのに、あの大工さんに建ててもらった家はびくともしません」近所の評判に耳を貸すことも大事だ。

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