『主要な接合は手で』
2021/03/31
『主要な接合は手で』
伝統的な継ぎ手や仕口の切り刻み作業は、手仕事できちんと行おうとすると、かなりの時間を要する。
軸組み工法の家では、組み方が生命だから、本当はそうしなければならないはずだ。
しかし、このごろはほとんどがドリルやノミなどの機械で、一律に孔彫りを行ってしまう。
そのために、ガッチリと組めない。
私らの若いころ、建前が終わって軸組みの歪み直しを行うのは一仕事だった。
通し柱や小屋梁などにロープをかけて、「ヨイショ」と引っ張って修正するのだが、少しくらいの力では、歪みがとれなかった。
ところが、最近の住居では、二~三人で引っ張ると、簡単に直ってしまう。
それだけ、接合が甘い(緩い)ということだ。
機械は便利だ。
かつて四日も五日もかかった仕事を一日でやってしまうこともまれでない。
だが、便利だからといって頼ってばかりいてはまずい。
主要な接合部は、木の性質を読みながら、手仕事でやらなければいけない。
大工の技術が落ちているといっても、機械に負けるほどなまっちゃいまい。
手間暇をかけるだけでも、機械よりは優れているはずだ。