『柱はモトを下にして使う』
2021/04/03
『柱はモトを下にして使う』
木にはモト(元)とウラ(末)がある。
モトというのは、根元だったところで、ウラは梢のほうだ。
柱を立てるときには、モトを下にするのが常識。
つまり、生えていたときと同じ状態で使うということだ。
一人前の大工なら、まさかに逆にするような無茶をすることもないだろうが、建売住宅などの仕事を見ていると、これからは、逆使いをして平気な大工も出てくるんじゃないかといった危惧がある。
人員だけ集めて、トントン釘打ちさせているような業者が多くて、こんな基本的なことすら指導できる人がいないのが実状だ。
先が心配でならない。
生えていたと同じ状態で柱を立てなくてはいけないというのには、やはりそれなりにわけがあり、根っこ寄りのほうが赤みが強くて脂分が多いから、腐りにくいということだ。
これは長い経験から生まれた知恵で、ずっと受け継がれてきたことだ。
大事な原則を無視するようでは、もはや大工とはいいがたい。
モト、ウラの識別は、木目を見ればわかるが、木材に材木屋や製材所で押された墨文字を見れば一目瞭然だ。
必ずモトから書く決めになっている。