夢の架け橋 明石海峡大橋を塗る
2021/06/02
夢の架け橋 明石海峡大橋を塗る
いろいろなところで使われる塗料
長期耐久性を実現する塗料と塗装
瀬戸の島々と四国・本州を陸路で結ぶ瀬戸大橋が実現したのは1988年 (昭和63年)のことです。
本州・四国連絡橋は六つの橋から成っており、道路・鉄道の併用橋で、道路部の長さは37.5㎞あります。
度重なる台風や1995年の阪神・淡路大震災にも耐えています。
海水、強風、振動など、最も過酷な条件下に置かれたこの橋を保護しているのも塗料と塗装技術です。
この実績は明石大橋に引き継がれ、鋼橋の塗装系が完成の域に入りました。
まず、大型ケーソン (潜かん工法で固定される鋼鉄製の基礎構造物)や橋げた、塔などは各橋梁メーカーや造船所でブロックごとに建造、塗装され、海上をクレーン船で運ばれて架設されます。
明石大橋は世界最長の吊り橋であり、ケーブル架設の第一歩であるパイロットロープの渡海には世界で初めてヘリコプターが使用されました。
吊り橋の命綱であるメインケーブルは、約6万トンの荷重を支えることができます。
新設の場合、塗装は全て工場で行われます。
おおまかな塗装仕様は、組立加工前の鋼材にはさび止めのために無機ジンクリッチプライマーが塗装されますが、組立後にブラストで全面除去されます。
その後、無機ジンクリッチペイントが塗装され、Zn粒子の連結でZnメッキと同じ犠牲陽極作用を発揮させます。
この塗膜は空隙が多く、上塗りによるピンホール発生を防止するため、第2層のエポキシ樹脂塗料の含浸で表面を覆います。
目止めのようになり、ミストコートと呼ばれます。
この上に、下塗りが2回、中塗り、上塗りが各1回塗装され、6回の塗装で、塗膜の厚さは全部で270μm以上になります。
下塗り、中塗りがエポキシ樹脂塗料で、上塗りにはふっ素樹脂塗料が採用され、瀬戸大橋よりも一段と耐候性が強化されました。
- 巨大大橋の塗装目的は長期耐久性
- 新設橋の塗装は全て工場で行う
- 定期的な保守が長期耐久性を実現