新幹線車両を塗る
2021/06/04
新幹線車両を塗る
いろいろなところで使われる塗料
乗用車並みの外観を達成する塗料と塗装
航空機と新幹線を利用する分かれ目は移動時間で、3時間以内ならば新幹線になるそうです。
JR東日本は、2010年末に延伸する東京―新青森間を現在の時速275kmから320km(フランスTGVと同じで、世界最速)に上げ、3時間で運行する計画を発表しました。
高速走行による車体振動やトンネル出入り口での外板変形に塗装系が追従できること、長時間美観を保持し、汚れを洗い落としやすいことが車両用塗料に求められます。
1990年代までの車両外装は光沢が鈍く、また、色も白をベースとした同系色だったと記憶されている方が多いと思います。
高光沢にすると、車両外装板の凹凸が強調されます。
建築物の外装もつや消し状態になっていますが同じ効果です。
白をベースとしているのは高速をイメージする色彩効果と、すり傷などを目立たせないことを狙っています。
90年代以降は車両外板にAI合金が採用され、メタリック仕上げなど乗用車並みの外観が求められています。
プレス加工の進歩で、溶接箇所が減少していますが、電車の様に大型になると車体に歪みが残り、パテ付けで平滑化する必要が生じます。
自動車の新車塗装工程(本章28節)と異なることを理解された上で、左表に示す新幹線車両の標準塗装仕様をご覧ください。
新車や後述のPCMに通用する表面処理に変わって、ブラスト直後にエボキシ樹脂系プライマーが塗装されます。
ブラスト直後の金属面はとても活性な状態ですから、この時に塗装すると、塗料はとても良く付着してくれます。
この上に、不飽和ポリエステル樹脂パテが使用されます。
車両重量とコストの制限から、バテ付け―研磨工程をを2回で終了させます。
その後の工程は車の補修塗装工程とほぼ同じになります。
パテ付け―研磨工程と中塗り―研磨工程の平滑化作業が高級感を生み出す源です。
- 大型金属素地の表面活性化はブラストで
- ブラスト後は直ちに塗装すること
- ますます高級感を要求される車両塗装