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木質系外装部材の知識及び保護

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木質系外装部材の知識及び保護

木質系外装部材の知識及び保護

2021/06/10

木質系外装部材の知識及び保護

在来の木造住宅の外装には、戸袋・屋根部妻板・窓枠・面格子等に木材が使われていたが、20世紀後半からの世界的な木材資源の不足、製品価格の高騰、あるいは、耐久性の問題から、木質系部材を外部に露出する部位に使うことは少なくなっており、無垢材ではなく二次加工したものを使うことが多くなっている。

従って、直接現場塗装する機会は少なくなっているが、建材として下記のような材料が構造材や下地材として使われている。

基材の種類

  1. 構造材
    木造住宅の柱は、強度、耐久性、見栄えが要求され、ヒノキ、杉、ツガ等の針葉樹が使われる。
    耐久性が要求される土台には、防犯を注入したヒノキ、カラマツ、ベイツガが使われる。
    梁には、大きい荷重がかかるので、強度のあるアカマツ、ペイツガの他、和小屋には松丸太が使われる。
  2. 合板
    通称ベニヤと呼ばれる合板は、カバ、ブナ、シナ等の国産材やレッドラワン等の南洋材が使われ、木材を薄くむいて木目を直行させて接着剤で貼りあわされている。
    表面に天然木の薄板をつき板合板やメラミン樹脂を被覆した特殊合板と木地のままでこのような二次加工をしていない普通合板がある。
    さらに、普通合板は、その使用場所に対応して一般的な普通合板、コンクリート型枠用合板、構造用合板があるが、その品質は、貼りあわせに使われている接着剤の耐水性能により左右されることになるので、その使用環境を考えて選択する必要がある。
    建築用外装材には、長時間屋外にさらされるので、1類(タイプ1)か構造用合板規格に規定された性能をもち、常時湿潤状態の場所でも使える特類合板を使わなくてはならない。
  3. 集成材
    集成材は、人工乾燥した木材から節や割れ等の欠点を取り除いた引き板を木目に沿って、長さ、幅、厚さの方向に集成し接着したものである。
    節、割れ、反りや捩(ねじ)れ等の木材特有の欠点が取り除かれ、強度が高まり、品質的にも安定しているので、建築用途の需要が伸びている。
    集成材には、あかまつ・からまつ・ベイマツ・ひば・ひのき等の針葉樹だけでなくラワン等の広葉樹も幅広く使われている。用途別に分ければ下記の種類がある。

造作用集成材および化粧貼り造作用集成材

ひき板や小角材を集成、接着した素地のままの集成材であり、階段手すりやパネル、カウンターパネル等に使われ、化粧貼りしたものには、化粧柱、長押、さらに、表面を溝加工して敷居、鴨居等に使われる。

構造用集成材および化粧貼り構造用集成材

引き板をその繊維方向に対してほぼ平行に積層し、構造耐力を高めて使われる。

柱、桁、梁等の直材や湾曲したアーチ等の強度を重視した用途に使われる。

木材の腐朽(ふきゅう)

木材は、種々の菌(カビ・バクテリア・キノコ等)により容易に腐朽するのが最大の欠点であり、この腐朽性は樹種によって差がある。

一般的には、外壁に付着するかびと同様に、下記のような適度な水分と一定の温度があれば繁殖する。

木材の含水率20%以上(最適条件30~60%)温度10~40℃(最適温度20~30℃)そして、水分が多く腐朽が始まった木材にはシロアリが繁殖して食害を受ける。

日本には、10種類のシロアリが生息し、この内、温暖地のイエシロアリと低温に強く、ほぼ全国的に分布するヤマトシロアリが木材を食害する。

普通の蟻(あり)は蜂(はち)のようなスタイルをしているが、シロアリの場合は、ゴキブリのように腹と胸の間がくびれていなくて、また、前後の羽が同じ大きさをしている。

シロアリの生息を見つけた場合は、専門業者に依頼し早期に駆除しなくてはならない。

このような腐朽やシロアリの被害は、木材が乾燥した状態になっていれば防止できるので、その箇所を塗装するしないにかかわらず、塗装前の現場調査の時に点検するとよい。

なお、シロアリと同様に、木材を食害するヒラタキクイムシは、12~15%程度の含水率で繁殖するので「乾材害虫」と呼ばれ、乾燥したラワン材、ナラ材等の広葉樹や竹材を好むので注意しなくてはならない。

木材の塗装

木材の塗装には、完全に木肌を隠して塗りつぶす場合(クローズポア仕上げ)と木目を生かして自然の美しさを見せる場合(オープンポア仕上げ、セミオープンポア仕上げ)がある。

塗りつぶす場合の代表的な塗装事例には、日本古来の漆塗りがあるが、外装部材の一般的な塗装には、アクリル系エマルジョンパテにより下地調整後、合成樹脂調合ペイントを刷毛塗りする。

木目を生かす場合は、オイルステインによる着色、透明仕上げ用のフタル酸樹脂ワニス、ポリウレタン樹脂ワニス、ポリエステル樹脂ワニス、アクリル樹脂ワニスの刷毛塗り、あるいは、スプレーによるラッカークリヤー仕上げを行う。

本来、木材は通常10~15%の水分を含み周囲の環境の変化につれて生き物のように呼吸しており、材種によって違うが、口径40~50μから400μの大きさの導管によって、塗りつけられた途料を吸い込むことになる。

例えば、住宅内部に使われるカウンターの天板の片面だけ塗装した場合、分厚い天板が容易に反ってしまうことにより「生き物」であることを実感できる。

そして、カラマツ、アカマツ、あるいは、北米産のダグラスファー、シトカスプルース等についてはヤニの流出が多いように、材種によって、特性が違い、また、同じ材種であっても、木目や導管の入り方が違っている。

従って、塗装しても比較的単期間に、変色、剥がれ、腐食が発生するので、長くても、4~5年で塗り替えをしなくてはならないことになる。

住宅の外装材の塗装についても、紫外線や雨風から長期的に表面を保護できることが望ましいが、このような、「自然のまま」の性質の木材に塗装して、安定した品質を得ることは非常に難しい。

基材を保護するというよりも美観を高めることを優先して、下地調整後1~2回塗りして簡易仕上げすることが多いが、いずれの場合も、しっかりと塗布して厚膜を作る、あるいは、しっかりと染み込ませることが大切である。

なお、代表的な外装部材である玄関ドアーの塗装の場合木目を生かした風格のある仕上げをする必要があり、この場合、素地調整が最も重要である。

一般的な管理ポイントは、下記の通りである。

含水率

通常は 12%程度ある含水率を8~10%程度に調整する。

面仕上げ

荒削り#80、仕上げ#180程度のサンドペーパーやディスクサンダーで仕上げる。

汚れ落とし

表面に付着したゴミ・ほこり・油分や、木材から析出した樹脂をベンジンやお湯でふき取る。

カビがある場合、次亜塩素酸ソーダを薄めて殺菌処理を行い、水洗い、乾燥を行う。

キズ補修

カシュー樹脂パテ・オイルパテ・合成樹脂バテ等のパテ材で補修する。

節止め

節の部分からヤニが出ている場合は、セラニックスで節止めする。

節止めした箇所がツヤムラを起こすことがある。

目止め

樹液が流れていた導管を埋めこんで塗料の吸い込みを抑える。

目止材は、砥の粉や炭酸カルシウム等の体質顔料を水で練った水性の砥の粉目止材とボイル油で練り合わせた油性の目止材がある。

水性の砥の粉目止材は安価だが、やせたり上塗り塗料を吸い込みやすい。

漂白

木材質の色ムラや辺心部の色差を抑えたい場合、蓚酸(しゅうさん)水溶液、過酸化水素水で漂白する。

外装材用の木材の塗装に使われるピグメントステインは、表面に膜を形成するのではなく、素地に浸透して表面を保護する働きがある。

このピグメントステインは、着色剤として顔料が使われているので屋外に使用できるが、よく目にする「オイルステイン」は、溶剤に溶かした染料を着色剤として使っているので耐候性が劣ることから屋外には使えない。

塗りつぶす場合の塗料には、油性調合ペイント、合成樹脂調合ペイント等が使われるが、一般に、高級でない木材を使うことが多く、木目、導管が不均一で節の部分から樹液の析出も多いので、やせや吸い込み防止のためのウッドシーラー、研磨性のよいサンディングシーラーが使われる。

なお、前述の木製玄関ドアーについて、これを塗り替える場合、住宅の顔としてしっかりとした塗装を行う必要があるので、工場に持ち帰って既存の塗膜を完全に除去し、前述のような丁寧な塗り替えを行うことになる。

1980年前後の新築住宅に相当数採用されたが、この時代は木村価格が急騰したこともあって無垢の木材ではなく、ラミネート加工された材料が使われていて、雨風を受けて框(かまち)部分が傷んでいることが多い。

無垢の木材であれば塗り替えだけだが、これらのドアーは、框材の交換等も行うことになって費用が嵩(かさ)むことになる。

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