工場や倉庫の塗り替えについて 塗り替えを行うメリットを考えよう パート5
2021/06/15
工場や倉庫の塗り替えについて
塗り替えを行うメリットを考えよう パート5
シーリング部分の補修
シーリングとは外壁の目地部分、窓や扉の周りに打設されているゴムのような部分です。
シーリングは建物のつなぎ目の防水効果を目的として使用されています。
シーリングも外壁や屋根と同じく経年劣化により、ひび割れや断裂、剥がれが生じる為、雨水の侵入から建物を守るためにはしっかりと補修が必要です。
補修方法はシーリングの劣化度合いにより主に2種類あります。
- 撤去・復元工法
シーリングの劣化が激しい場合、既存のシーリング材を完全に除去し、新たなシーリング材を充填する工法 - 増し打ち工法
現状のシーリング材の撤去が困難な場合やシーリング材の劣化が少ない場合に既設のシーリング材の上から新たなシーリング材を充填する工法
コンクリートの亀裂の補修
コンクリート部分の亀裂は、下地の乾燥による収縮や建物自体の動きによって発生します。
0.3mm未満の亀裂は、美観以外に大きな問題はありませんが、0.3mm以上の亀裂に関しては下地を貫通している可能性が高く、雨水の侵入につながることも考えられるため補修は必要となります。
補修方法は亀裂の幅や箇所・状況によって変わってきます。
亀裂の幅が0.3mm未満のもの
シール工法
- ケレン除去
周辺塗膜が脆弱な場合、亀裂の発生箇所を中心にして幅20~30㎜程度の範囲の塗膜を入念に除去し、コンクリート下地面を露出させます。 - 清掃
塗膜を除去した周囲は、ワイヤブラシなどを用いて清掃します。 - 修復
挙動が少ない場合はアクリルカチオン系下地調整材を、挙動が比較的大きい場合は可とう性エポキシ樹脂を練り混ぜ、亀裂部分にパテベラ・金ベラを用いて入念に充填します。
亀裂の幅が0.3㎜以上または雨水の浸入の可能性があるもの
シール工法・Uカット・シーリング材充填工法
- ケレン除去
亀裂に沿って現状の仕上げ塗材を幅35㎜程度の範囲で入念に除去しコンクリート下地を露出させます。 - Uカット処理
ダイヤモンドカッター、ディスクサンダーなどで下地コンクリートを亀裂に沿って幅・深さともに10㎜程度の範囲でU字型にカットします。 - 清掃
Uカットした部分の周辺を高圧空気にて清掃します。 - 充填
シーリング材専用プライマーを刷毛にて塗布し、シーリング材をコンクリート表面から3~5mm程度残して充填します。 - 修復
Uカットした部分の周囲にアクリルカチオン系下地調整材をコテ・ヘラにてしごき、下地の均一化を図ります。
亀裂の幅が0.3㎜以上1㎜未満で動きの予想される部位
エポキシ樹脂注入工法
- 注入パイプ設置
亀裂に沿って50~250㎜間隔で穴(口径5㎜・深さ15㎜程度)をあけ、注入パイプ(または台座)を壁面に取付けます。 - シール処理
樹脂注入時の樹脂の外部への漏れを防ぐため、あらかじめ亀裂に沿ってSKシール(シール材)を塗付します。 - 樹脂注入
手動式あるいは自動式低圧ポンプ、またはシリンダー型自動低圧注入器具でエポキシ樹脂を注入します。
挙動が予想される場合はミラク注入エポ弾性ミラクログラウト用、挙動が少ないと予想される場合はミラク注入エポミラクログラウト用またはミラク注入エポグリース状(ひび割れ幅:0.3mm~1.0mm)を使用する。
エポキシ樹脂は加圧により亀裂の奥深くまで入り込み浮いたモルタルと下地との接着効果を発揮します。 - 撤去
樹脂が硬化した後、2のシール材および1の注入パイプ(または台座)をディスクサンダーなどで除去し、周囲を清掃します。
躯体の下地調整
前項までの各下地補修・調整を行い、いよいよ塗装工程にかかる前には、以下の内容での躯体の下地調整が必要になります。
補修方法手順
- 劣化塗膜・密着不良塗膜・浮き塗膜の除去
亀裂や「浮き」発生箇所周囲のものを中心に劣化・脆弱化の見られる塗膜は周辺を含め皮スキ、ワイヤブラシ、ケレン棒などのケレン工具により除去します。
また場合によっては電動工具も用い充分な除去を施します。
劣化・脆弱化した塗膜の上から新たな塗膜を施しますと、剥離などの原因になるので注意が必要です。 - 塗装面の粉化物・埃などの除去
高圧水洗浄機で加圧水洗(100~150kgf/c㎡)を行い、ケレン時に発生したものも含め埃や粉化物を充分に洗い落とします。
尚、水洗後、塗装まで1日以上は乾燥させます。
旧塗膜と新塗膜の間に汚染物が存在しますと、当然、密着不良・剥離などの原因になります。 - 高圧水洗が不可能な箇所の埃などの除去
ホーキ・ブラシ・ウェスなどを用いて付着する埃などを除去・清掃します。
場合によっては高圧空気噴射(エアブロー)清掃を行います。 - 美観の回復処理(パターン調整)
下地補修による著しい補修跡は現状のパターン(模様)に近づけるように修復します。
下地補修、下地処理工事により発生した段差や補修跡、またはケレンや高圧水洗により発生した段差や欠損部はアクリルカチオン系下地調整材をダスター刷毛にて補修塗りし、下地面の調整を施し、美観を回復させます。