機能で広がる塗料の用途 塗料の基礎知識 汚れを雨が洗い流す
2021/06/15
汚れを雨が洗い流す
機能で広がる塗料の用途 塗料の基礎知識
自己洗浄性耐汚染塗料は親水性が決め手
建物や構造物に付着した汚れ物質は美観を著しく損ねますが、その洗浄は厄介なものです。
今でもビルの窓ガラスなどは屋上から吊り下げられたゴンドラに人が乗って人力で洗浄されています。
こうした問題を解決しようとするのが、雨が降れば自動的に汚れ、特に都心部での油汚れが洗い流されるよう
設計した自己浄化性塗料です。
油汚れを防ぐには次の3点を考える必要があります。
- 塗膜と油汚れの化学構造上の親和性が低いこと。
- 塗膜が硬質で、硬化の程度が進んでおり、付着した汚染物質が塗膜内部に浸透しづらいこと。
1 と 2 はその通りですが、他の性能とのバランスでこのことだけに注視した塗料設計は難しいのが実情です。
そこで最も重要な決め手が、3 塗膜表面を親水化し、油汚れを落としやすくする手法です。
親水化とはどういうことでしょう。
塗膜表面に水滴を置きますと、水に対する塗膜のぬれやすさによって水滴のつくる角度(これを接触角といいます)が変わります。
この接触角が小さいほど塗膜の親水性は高い(高表面エネルギー)と言えます。
耐汚染塗料では接触角が40度程度以下でその働きが十分に見られます。
都心部の油汚れには自動車廃ガス中のタール状成分などが含まれており、塗膜表面を親水化することで油と塗膜の間に雨水が浸透し油成分を洗い流してくれることになります。
親水化のためには表面を改質したシリカゾル (溶液状シリカ) を塗料中に分散した有機/無機ハイブリッドやコロイダルシリカ (コロイド状シリカ) 表面を樹脂でコーティングしたエマルションなど無機成分を活用したいくつかの方法が実用化されていますが、表面に親水性成分が多く存在し、初期から親水性を示す設計が求められています。
要点としては、
- 雨水で油汚れを洗い流す耐汚染塗料
- 設計のポイントは表面の親水化
- 親水化にはシリカゾルなど無機物を活用
躯体の保護だけではなく、美観を維持するには良いものです。
各メーカーにおいて、シリコン系ハイブリッド塗料は、ほとんど親水性の塗料が主流です。
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