液膜を転写する高速塗装 均一な厚みの液膜に加工する塗装方式
2021/08/05
液膜を転写する高速塗装
均一な厚みの液膜に加工する塗装方式
- ロールコーターには、ナチュラル形とリバース形の2種類があります。
ピックアップロールで塗料を均一に巻き上げ、膜厚調整の役目をするドクターロールに移送され、均一な厚みの液膜状態を保ったままコーティングロールに移動し、このロールから被塗物に転写されます。
ナチュラル形はコーティングロールと被塗物の移動方向が同じであり、リバース形のそれは逆です。
リバース形はロール目が付きにくく、均一な膜厚が得られることを理解してください。リバースコーターはヘラ付けする時に、ヘラと被塗物が反対方向に動いていると考えればよいのです。
一方、ナチュラルコーターはドクターロールで均一化した液膜の断面をコーティングロールで引き裂くように、被塗物に塗料を押し拡げてゆきます。
そのため、リバース形に比べるとロール目が残りやすく、膜厚の調整も難しくなります。 - カーテンフローコーター装置の原理では、塗料をポンプでヘッドへ吸い上げ、均一な隙間(スリット)から押し流すと、まるでカーテンのような液膜ができるので、この名前が付いたのでしょう。
一定速度で動くコンベアに乗せた被塗物がカーテン液膜を通過すると、塗料が塗られることになります。カーテンの厚さが均一ならば、塗付量は均一になります。作業効率が良く、合板、スレート板など平板の連続塗装に適します。
この方式の欠点は
①曲面を有する被塗物には塗れない部分が生じること、
②薄く塗れないことです。
塗料を流すスリット幅を0.4㎜以下にするとカーテンが切れやすく、最低でも0.5~0.6㎜程度にします。
塗付膜厚は被塗物の移動速度(コンベア速度)に依存し、流速が0.5m/sで、コンベア速度が2.5m/sであれば、塗付膜厚はスリット幅の約5分の1となります。
ポイント
- ロール方式は塗料を巻き上げ、均一液膜に加工
- 塗料を隙間から押し流し、液膜カーテンに加工
- 平板のみー被塗物形状に制限あり