塗装欠陥(2)かぶり・シワ・皮張りの対策
2021/08/13
かぶり・シワ・皮張りの対策
塗装欠陥(2)
- かぶり(白化・ブラッシング)
雨の日、とくに梅雨時(高温多湿)にスプレー塗装をすると、かすみがかかったように白くぼけてつやが無くなる現象です。
注射をする前に、脱脂綿でアルコール消毒をしてもらった時のひんやり感を思い出してください。
アルコールが揮発する時に気化熱を奪ったのです。
塗装面から溶剤が揮発する時にも同様に、気化熱で塗面の温度は低下します。
高湿度の時、わずかな温度低下で外面近くの水蒸気が水となり、塗膜中に取り込まれます。水の表面水力は塗料よりもはるかに大きく、かつ塗面に付いた水が塗料中に溶解しない時には小さな水滴になり、白化します。 - シワ
乾燥した表面に波状の凹凸を生じている現象で、シワを神社やお寺の木造建築物で見かけることがあるかと思います。
油の酸化重合で橋かけ反応する(クッキー塗膜を形成する)油性塗料、いわゆる油性ベンキと呼ばれている合成樹脂調合ペイントや油変性フタル酸 (アルキド)樹脂ワニスなどを厚塗りすると、表面層は空気(酸素)と接触して重合しますが、内部は酸素不足で重合反応が不十分です。
内部の未反応成分が表面層に拡散し膨潤させるので、表面層はシワになります。
油の酸化重合は反応速度が遅いので、油性塗料の厚塗りは避けましょう。1日に1回塗りが良いでしょう。 - 皮張り
塗装欠陥ではありませんが、屋根用や外部用油性塗料(合成樹脂調合ペイント)を使用し、ふたをして残量を保管し、後日、使おうとしたら容器内で塗料表面に皮のような薄膜ができる現象です。
この種の油性塗料は空気中の酸素を取り込んで化学反応(酸化重合)し、分子量が増大します。
ふたをしても塗料容器の中に空気があるため、皮張りを防ぐためには、残った塗料を小容器に移し替えてラップフィルムで表面を覆い、空気との接触を小さくしてください。
できるだけ涼しい場所に保管してください。
ポイント
- 高温高湿時の白化は結露が原因
- 油性塗料の厚塗りはシワのもと
- 余った油性塗料は小さい容器に貯蔵する