VOCを減らすには 多面的・総合的に行うVOC削減
2021/08/15
VOCを減らすには
多面的・総合的に行うVOC削減
大気環境の保全は今や世界的な問題です。
日本では2000年度に比べ2010年度に全VOC排出量を30%削減する目標を立てています。
揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリ (調査記録) 検討会 (環境省) によれば、日本の00年度の
全VOC量は160万トン、その内塗料は54万トン(33.8%)、5年度はそれぞれ130万トン、39万トン(30%)になっており、他分野に比べ塗料からの排 出量が極めて大きいことがわかります。
国立環境研究所の資料では、1998~2000年度の塗料か らの排出比率は37%であり、その中で建物が9%、電 気・金属が6%、自動車新車が5%などとなっています。
VOCを削減するためには次のことを総合的に考える必要があります。
低VOC塗料への切替え
固形分濃度が高いハイソリッド塗料、あるいは無溶剤塗料、水性塗料、粉体塗料の使用の推進です。
日本塗料工業会では使用用途に応じた適応可能なVOC排出抑制塗料とその課題を示していますが、品質上の課題を良く理解することが必要です。
塗装方法の見直し
スプレー塗装では使った塗料の内の何%が被塗物に塗着したかという塗着効率(TE) が重要です。
例えば通常のエアスプレーではTE=30%程度なのに対し、静電塗装やエアレス塗装では50~60%に向上します。
均一膜厚になるよう塗装すること、色替えの際の洗浄用シンナーの量を減らす工夫も大切です。
VOCガスの後処理
インシネレーターと呼ばれる焼却設備や活性炭による吸着により外部にVOCを排出しない方法です。
どの方法を組合わせるかは製品の品質、および材料、工程のコストを見た総合的な判断が重要です。
ポイント
- 05年度、日本の塗料からのVOCは39万トン
- 削減には塗料、塗装法、設備面から総合的な判断が重要