ハイソリッド・無溶剤型塗料を使うより固形分の割合を高めVOCを削減する
2021/08/17
ハイソリッド・無溶剤型塗料を使うより固形分の割合を高めVOCを削減する
今まで使っていた塗料の(塗装時の)固形分が40%だったものを80%に変えると、揮発する溶剤量は当然60%から20%に減少します。
一般には固形分が70%以上の塗料をハイソリッド(高固形分)塗料と考えて良いと思いますが、業界によってハイソリッドと呼ばれる塗料の固形分は一律ではありません。
ハイソリッド塗料を得るための最も基本的な方法は、樹脂の分子量を下げ、系の粘度をさげて固形分が高くても同じような粘度で塗装できるようにすることです。
しかし、樹脂分子量を低下すると、硬化塗膜の硬さなどの諸物性が低下し、また耐候性(屋外で使用した時の耐久性)も著しく低下します。
これを防ぐためには塗膜が硬化する際の反応点を多くし、十分に分子同士を結合させる必要があります。
また、ハイソリッド塗料では塗装する際にたれやぬれ不良などの塗装欠陥を生じやすく、表面張力や構造粘性(粒子が繋がることによって生じる攪拌速度によって変化する粘性)の調整が必要になります。
以前に、述べたように、日本では自動車塗装の最上層のクリヤ塗料にハイソリッド塗料が有力視されています。
海外の実用例としてはダイムラー・クライスラー社ニューワーク工場の65%固形分塗料の採用がありますが、さらなる固形分向上を目指しています。
ハイソリッド塗料では基本的に現有の塗装設備が使用できるメリットがあります。
無溶剤型塗料は溶剤量をゼロにした塗料です。例えば、反応性希釈剤であるスチレンモノマーで溶解した不飽和ポリエステル樹脂塗料、アクリルモノマーで希釈した紫外線硬化塗料などがあげられます。
ハイソリッド・無溶剤型塗料は共に各種工業用塗料、船舶、重防食塗料などの分野で開発が続けられていますが、塗装作業性、塗膜外観性などの改良も大きなポイントになっています。
ポイント
- 固形分の高い塗料がハイソリッド塗料
- 性能低下には十分硬化させることで対処
- 反応性希釈剤を用いる無溶剤型塗料