冷蔵庫を塗る PCM塗装ラインと塗膜構成
2021/09/03
冷蔵庫を塗る
PCM塗装ラインと塗膜構成
家電製品の代表選手ともいうべき冷蔵庫は、年間500万台近くも生産されています。
今では普及率98%の必需品であり、4ドア、5ドアのものも登場し、いろいろな形態がデザインされています。
塗装仕上げも、鏡面、メタリック、模様塗りなど様々です。
30年程前の塗装法は冷蔵庫を組立て箱形にしてから、アクリル/メラミン樹脂系塗料を焼き付けるものが主流でした。
この方法に対し、あらかじめ金属平板を塗装してから折曲げ加工して組立てる方法が開発されると、生産性が著しく向上しました。
この方法をプレコートメタル(PCM)システムと言います。
前もって(pre)塗装(coat)された鋼板(metal)という意味です。
平らな状態で塗装するため、色むらもなく、均一な塗膜になります。
PCM方式は白物家電用外装板の他、家屋の屋根や外装に使用されるカラートタンにも採用されています。
コイル状に巻かれた幅1m弱、長さ数百mもの薄い鉄板を巻き戻し、毎分50~数百mもの速さで走る高速ラインでまるで印刷のように塗装されます。
脱脂、皮膜化成処理後に、下塗り、上塗りをロールコーターで塗装し、そのまま220℃ほどの高温焼付け炉を30秒くらいで通過して塗膜となります。
一般に、裏面は下塗り、または上塗りの塗装・焼付けが1回、表面と同時に行われます。
冷却後、コーティングコイルとして巻き取られます。
塗装ラインで回収した溶剤は焼付け炉の熱源に使用され、VOCはほとんど発生しません。
塗膜には折曲げ加工性、耐候性(屋外に暴露しても劣化しにくい性質)が要求されます。
塗料はポリエステル/メラミン樹脂系焼付け塗料が主流で、一般的なPCM鋼板(アルミ板もある)のようです。
最近では、PCMの用途が広がり、保証年数も最低20年と長くなる傾向にあります。
粉体塗料を組み込んだラインも稼働しています。
ポイント
- 金属製品は塗装済み鋼板PCMを加工
- 大量生産に寄与するPCMライン技術
- ラインの溶剤は回収され熱源に有効利用