ボテボテ・シャバシャバ? 粘度を測る タレを防ぐ塗料のからくり
2021/09/05
粘度を測る
ボテボテ・シャバシャバ?タレを防ぐ塗料のからくり
私たちの周りには、水・油・シャンプー・マヨネーズ・ジャムなどさまざまな液体がありますが、シャバシャバしたものからドローッ、ボテボテしたものまで流動の様子が皆、違っているように感じませんか?
塗装材料の流動性もパテから、クリヤ、エナメル、分散液(エマルションなど)に至るまで変化に富んでいます。
これらは必ず流動状態を経て固化します。
平滑な良い外観に仕上げるためには塗装方法にあった流動性(粘性と弾性)が必要ですが、おおまかには粘度で液体の流動性を比較します。
まず、20℃で水の粘度は、1mPa・s(ミリパスカルセコンドと呼ぶ)で、天ぷら油のそれは約100倍大きいと理解してください。
偉大な科学者であるニュートンは粘性率(粘度)を次式で定義しました。
以下、N式と略します。
(かき混ぜに要するカ)=(粘性率)×(かき混ぜ速度)N式に従う液体をニュートン流体と呼びます。
かき混ぜ速度が一定の時、油は水に比べて100倍の力を要します。
図1に示す回転粘度計を使用すると、N式に従う粘度が求まりますが、通常の作業では、簡易的に図2に示す粘度カップを使用し、カップ内の塗料の流出時間を計測します。
N式の粘度と流出時間との関係は図3のように示され、100秒程度までは比例関係が成立します。
エアスプレーガンでは12秒程度(約40mPa・s)に調整しますが、この塗料をはけ塗りすると粘度が低すぎてうまく塗れません。
塗装方法ごとに塗料の粘度には適正な範囲があり、この関係を第3章9節にまとめてあります。
樹脂溶液中に図4のように微粒子を分散させると、静置している時には粒子の連結で固体の性質(弾性)を与え、塗る時には粒子がばらばらになり、流れやすくなります。
その結果、小さなカで塗れ、塗装後は粒子の連結で粘度が一気に上昇するため、タレない性質を付与することができます。
きれいに塗るための塗料のからくりがここにあります。
ポイント
- 粘度はニュートンの式で求める
- 実用粘度はカップ式、絶対粘度は回転式で計測
- 流動性にも塗料のからくりあり