機能性で広がる塗料の用途 見る角度によって色が変わる新しいエフェクト顔料を含む塗料
2021/09/23
見る角度によって色が変わる新しいエフェクト顔料を含む塗料
機能性で広がる塗料の用途
人はいつも美しい色を再現しようとしてきました。
カラーデザインが重視される自動車塗装をはじめ、色彩は商品性を高める最も重要な要素の一つになっています。
それでは美しい色とはどのような色でしょうか。
それは人間にとって端的に言えば空や海の青、新緑の緑、孔雀、玉虫、モルフォ蝶あるいは宝石の色といった自然の色であると思われます。
このような深く透明感のある、輝くような色は通常の顔料を用いただけの塗料では得ることができません。
自動車のメタリック塗料ではフレーク状のアルミニウム顔料、パールマイカ顔料が用いられてきましたが、近年、エフェクト顔料と呼ばれる新しい色彩を表現するさまざまなフレーク顔料が開発され、塗料に応用され注目を浴びています。
例えば、
- マイカ(白雲母)に酸化チタンをコーティングしたものがパールマイカ。
酸化チタン層の厚みを変え光干渉による各種の色表現ができます。 - マイカのコーティング剤を酸化鉄、酸化ケイ素、酸化コバルトなどに替え、オレンジやグリーンなどの色彩を表現できる顔料。
- マイカの替りに板状酸化ケイ素、アルミナ、ガラスフレーク等を用い、より高彩度、高輝度を表現できる顔料。
- 5層構造のフレーク顔料の多重反射で、見る角度で色の変わる顔料。
- 屈折率の異なる2層の樹脂フィルムを薄膜積層したモルフォ蝶を倣った顔料。
- 液晶ポリマーを用いた玉虫や黄金虫の発色と同じ原理の顔料。
などがあります。
1~3は見る角度で色の濃度が変わると言った方が良いでしょうが、4~6は見る角度によって色そのものが変化します。
そこで例えば、同じ塗料を塗った一台の車が部位によって金・赤・青・紫に輝いて見えるという色彩表現が可能になります。
ポイント
- 美しい色の見本は自然にある
- 多重反射構造で透明感、深みのある色表現
- 見る角度で色の変わる顔料が注目