機能塗料の用途シリーズ 光で回路をつくる ICに欠かせない微細加工用フォトレジスト
2021/09/24
光で回路をつくる ICに欠かせない微細加工用フォトレジスト
機能性塗料の用途
IC(集積回路)は現在の産業、社会に欠かせない基盤技術になっています。
ICの回路パターン形成やプリント基板の回路形成に無くてはならない材料がフォトレジストです。
このフォトレジストは紫外線に感光することで回路パターンを形成する微細加工用コーティング剤です。
フォトレジストには光が当たるとゲル化して(固まって)現像液に不溶になるネガ型と、光が当たった部分が可溶化するポジ型があり、現在は分解能の良好な後者が多く使われていますので、ポジ型を例にエ程を見てみましょう。
シリコン酸化膜や窒化膜を形成したシリコンウエハーに、フォトレジストをスピンコートと言う方法で塗ります。
スピンコートは円盤を回転させることで中心部に置かれた塗料を遠心力で塗り拡げる方法です。
その後、回路パターンを印刷したガラスのマスクを通して紫外線を照射します。
すると感光部はアルカリ溶液(これを現像液と言います)に溶解し、取り除かれます。
その後、エッチング(ガスによる食刻)をすると塗膜のない部分が削られます。
最後に酸素プラズマなどで塗膜を灰化すると目的の回路が得られます。
フォトレジスト膜は残る訳ではありません。
こうした工程を繰り返すことで複雑なIC回路が形成されることになります。
照射する光の波長が短いほど解像度が上がることから、超微細加工のために短波長の光の利用とそれに対応するフォトレジスト用樹脂と感光剤の開発がなされています。
以前は水銀灯のg線436nm(ナノメーター)の光とノボラック型樹脂が多く用いられましたが、ついでi線365nmの光になり、さらに248mのKrF(フッ化クリプトン)エキシマレーザーとヒドロキシスチレン樹脂/酸発生剤の組み合わせが用いられています。
プリント配線にとってもフォトレジストは無くてはならない材料です。
ポイント
- ICに用いられるフォトレジスト
- ネガ型、ポジ型ではポジ型が多用
- 低波長光の方が解像度があがる