コラム 地球とサッカーボール
2021/09/25
地球とサッカーボール
コラム
ビッグバンを提唱した物理学者ジョージ・ガモフの本の中に、古代ギリシャ時代には数の最大の単位が万しかなかったため、アルキメデスが1億(1万万)、億億、億億億という具合に大数の単位をつくったことが述べられています。
日本でも寛永十一年の塵劫(じんごう)記と言う数学の問題を扱った書物に単位が出ており、大数は十、百、千から始まって無量大数(10の68乗)まで多くの単位が記載されています。
一方、少数は分、厘から始まって清浄(10のマイナス22乗)までが記載されています。
人間のもつ知的好奇心に感心するばかりです。
ところで塵劫記による単位では「塵」になりますが、10のマイナス9乗、すなわち10億分の1がナノということで注目をあびています。
ナノの小ささを比喩で示しますと地球に対してサッカーボールの大きさだそうです。
またインフルエンザウイルスが約100ナノメーターの大きさ、メタン(CH4)分子の直径は0・4ナノメーターです。
アメリカでは2000年にクリントン大統領が国家の戦略的研究分野としてナノテクノロジーを取り上げています。
超微細化工による記憶素子、マイクロマシン、カーボンナノチューブなどのナノ素材や微粒子には多くの可能性が秘められています。
塗料の分野でもナノテクノロジーに関わる研究開発が注目されています。
例えば、粒径が10~100ナノメーターと通常のエマルション樹脂より一桁小さな粒子は機能材料やレオロジー調整剤に用いられています。
また、金などのナノコロイドは色材としての応用も可能です。
こうした機能性材料を得るための技術開発は今後ますます増加すると考えられます。