これからの塗料技術 環境対応と高機能化が開発課題
2021/09/27
これからの塗料技術 環境対応と高機能化が開発課題
安全・環境問題とこれからの塗料
これからの塗料技術を考える上でのキーワードは、環境対応と高機能化であると思われます。
ここでもう一度、塗料用樹脂の開発という観点から塗料技術の歴史を振り返ってみましょう。
塗料技術のパラダイム(ある時代に共通の枠組み、方法論、物の見方などを言う)がどのようにシフトしたかと考えますと、まず、1950年頃に隆盛となった第一のパラダイム「各種ポリマーの展開」があります。
いわゆる合成樹脂の発展と共に合成樹脂塗料が広く開発された時代です。
次いで70~80年代に隆盛となった第二のパラダイム「ポリマー技術の高度化」があります。
これは樹脂の分子設計や樹脂微粒子設計を含む樹脂設計を高度化させることで高性能を実現してきた時代です。
そして、現在は第三のパラダイム「高機能化と環境貝荷低減」に入っていると考えられます。
高機能化では樹脂設計の面のみならず、機能性顔料、機能性添加剤(薬剤)等の開発によって塗料の領域を押し広げています。
この分野はニッチ(隙間)な分野であるかも知れませんが、機能性塗料は知識集約型、高付加価値型の塗料と言えます。
また、環境問題への取組みの大切さは先に述べたとおりです。
さて、塗料は典型的な複合材料ですが、複合材料であるが故に発展してきた固有の技術があります。
塗料の要素技術には樹脂設計技術、架橋技術、分散技術、薄膜形成技術、材料評価技術、機能化技術があげられます。
こうした技術は周辺分野の材料開発との関連も深く、相互に刺激しあっています。
技術もマーケットもグローバル化している現在こそ、こうした技術を生かした独自性のある製品開発が望まれています。
ポイント
- 現在は高機能化と環境負荷低減の時代
- 機能性塗料は塗料の領域を拡大する
- 塗料には複合材料故の固有技術がある