塗料の構成 #1塗料に使われる原料 #2添加剤
2021/10/13
#1塗料に使われる原料 #2添加剤
塗料の構成
塗料には、様々な添加剤が混ぜ合わされている。
製造段階でビヒクルと顔料を均一に分散させ、保管している間に沈殿や凝集が起きないようにする等の塗料自体の品質安定化を図る役割をしている。
また、塗装する時の作業性を良くし、表面に泡や刷毛目がでないようにし、塗装後の塗膜にカビ等が付着しないようにする働きもある。
それぞれの添加量は微量であるが、塗料の特性を出させる重要な成分である。
- 界面活性剤
脂肪酸や有機酸、その金属塩等が使われており、家庭用の洗剤等にも使われている。
顔料やビヒクルが混じりあったときに、表面張力を低下させる湿潤剤の働きや顔料を固まらせずに、塗料の中に均一に分散させるための分散剤、あるいは、保管中に固形分が沈んでしまわないための沈降防止剤として使われる。
注意すべきは、沈降防止が図られているとはいっても、比重の違う物質を混ぜ合わせているかぎり、顔料等の一部が沈んでいることはやむを得ない現象であるので、塗料を使うときは、よくかき混ぜることが大切である。
もっとも、沈降防止剤が入っているので、簡単にかき混ぜて均一状態に戻すことが容易になっているとも言える。 - たれ防止剤
刷毛やローラー、吹き付け等の塗布作業に適した粘度に調整しっつ、塗膜の流れ落ちを防ぎ、付着性を高めるために、ベントナイド、脂肪酸アミド、金属石けん等が使われる。 - 消泡剤
塗料の製造時や刷毛やスプレーガンで塗布したときに空気を巻き込んで気泡が発生し、その気泡が塗膜の表面に残る場合、乾燥後に円形の気泡の跡がつくことになる。
このような泡を消すためにシリコン化合物、ビニル系化合物等が使われる。 - 色別れ防止剤
種類の違う2種類以上の顔料を混ぜ合わせた場合、顔料の比重や粒子の大きさ、その凝集力の差によって、色別れが発生し、そのまま使った場合は、色むらになる。
このような現象を防ぐために前述の界面活性剤やシリコン化合物、レシチン等が使われている。 - 防腐剤・防カビ剤
カビ菌は、ゴミやほこり、その他あらゆる有機物を栄養としており、特に塗料に含まれる界面活性剤は、格好の栄養源となりやすい。
カビ対策のためには有機水銀化合物や有機すず化合物が有効であったが、有害物質のため使用禁止となり、その後有機塩素化合物やフェノール系化合物が使われているが、こららの添加剤はあらゆる種類のかびに効果があるものはない。 - 可塑剤
DOP(ディオクチルフタレート)、DBP(ディブチルフタレート)やひまし油が使われ、分子と分子の間に入り込んですべり剤の役割をする。
塗料の軟らかさ(たわみ)や肉持感を持たせ、付着力を高めるので、アクリルラッカーや塩化ビニル系塗料に使われる。
これらの可塑剤は、軟質塩化ビニル等の軟らかいプラスチックを成型するときにも添加されるが、時間の経過と共にブリードするので、可塑剤を添加された材料に直接塗装すると様々な影響を受けることになる。 - 皮はり防止剤
塗料の貯蔵中に空気と接する表面に皮ができる現象を防ぐために、フタル酸樹脂エナメル、合成樹脂調合塗料に添加される。
塗料の中に溶け込んでくる酸素を吸収することのできるフェノール系化合物等が使われるが、過剰に加えると乾燥が遅くなるので注意する。 - レベリング剤
塗膜の流動性を良くしてロール目等が出ないようにするため、アクリル系重合物等を入れる。