外装材の種類
2021/10/24
住宅外壁材の種類
- 窯業系サイディング
- 金属系
- ALC
- その他
- モルタル
- 吹き付け
全体的な傾向として、モルタル塗りの優秀な職人さんが少なくなったことや、現場工期短縮化のニーズが強いために、湿式工法が減少し乾式工法によるサイディング外壁が多くなってきている。
このようなサイディング材には、新しく開発された素材や改質された表面仕上げの材料が、使われていることが多いとも言えるので、塗り替え時に使う仕上げ材の選択は慎重でなくてはならない。
塗り替え対象の外装材料には、付帯部材としてアルミニウム(水切り、モール等)、銅(屋根材等)、ステンレス(水切り、屋根材等)、その他合金(建具類、サイディング、手摺材)、合成ゴム(ガスケット)、塩化ビニル樹脂(雨樋)、もしくは、塩化ビニル樹脂積層鋼板(屋根材、軒天)等も使われているので、これらの材料についても理解していないと塗装はがれ等のトラブルを発生させる。
セメント系外壁
セメントは、石灰石(CaO)にシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)や、酸化鉄(Fe2O3)を混合して焼成したクリンカーを粉砕して作られている。
セメントは、水を加えると発熱して水和反応し、結晶化が進んで硬化する。
生コンクリートには、この硬化に必要な水分が約15%含まれており、時間が経過して徐々に、水分が失われるものの、おおよそ7~8%は内部に残留しアルカリ骨材反応を起す。
アルカリ骨材反応とは、水分が高濃度の水酸化イオンによって強アルカリ性になり、シリカと反応してゼリー状(ゲル)になり、固まりながら膨張する現象をいう。
このアルカリ成分は、コンクリートの強度を保つために挿入されている鉄筋をさびさせないという重要な役割をする特性があるものの、塗膜に悪い影響を与えるので、アルカリに弱いフタル酸系塗料の使用を避け、また、塗装時点では、Ph9程度以下に下げておくことが必要である。
さらには、塗膜の下にシーラーを塗布して、基材に含まれるアルカリ成分から遮蔽し、直接接触することを避けることも重要である。
セメント系の下地にシーラーを塗装することは、遮蔽機能と合わせて、吸い込みの均一化と塗膜の密着力を高める働きもあるので、丁寧に均一に塗布することが重要であると言える。
ただし、下地が乾燥していない状態で、透湿性の低い塗料で被覆してしまうと、気温の低い時に、炭酸塩や硫酸塩が析出し、エフロレッセンス、白華、あるいは、はなたれとも呼ばれる現象を示すので注意しなくてはならない。
なお、エフロレッセンスとは、コンクリートやモルタルに含まれているカルシウム分が水分で溶けて表面に移行し、空気中の炭酸ガスと化合して結晶した固形分であり、炭酸ソーダ(Na2CO3)、硫酸ソーダ(Na2SO)等が含まれている。
エフロレッセンスは、コンクリートの中に含まれている水分だけでなく、その他に、外壁パネルのジョイント部やモルタルに張られたタイルの裏側に浸入した雨水によっても発生することもあるので、これらの部分の防水処理を確実に施工することも重要な管理ポイントである。
なお、コンクリートの強度を保つために重要な役割をする鉄筋は、前述のように、アルカリ性の環境下では不動態化被膜が形成されて錆びないが、中性化すると錆が進行する。
中性化とは、アルカリ成分が空気中の炭酸ガスと反応して中和するものであり、コンクリートの表面から始まり、徐々に内部に進行し鉄筋を錆びさせることになる。
また、コンクリートにクラックが発生して外部から空気や水が浸入していく場合も中性化を促進する。
このような現象を防ぐために、水、セメント比を小さくし、鉄筋のかぶり厚さを一定以上確保し、クラックを発生させないようにすることがコンクリート施工管理上の重要管理ポイントであるわけだが、塗装の役割から見れば、表面に防水性能の高い塗装をすることにより中性化防止に寄与させるということになる。
このように、セメント系外壁は、基材自体が様々な劣化の性状を示すので、塗り替えの場合、事前調査をしっかりと行って適切な処置をしなくてはならない。
処置が必要な場合、これらの補修に使うモルタルには、アクリル樹脂エマルジョンに粗骨材を混ぜ合わせたものとエポキシ樹脂に使砂を混ぜ合わせたものがあり、後者の方が性能的に優れているがコストが高い。
また、細かなひび割れの場合は、フィラーとシーラーの機能を兼ね合わせた一般型セメント系フィラーやカチオン型ポリマーセメント系フィラー、あるいは、微弾性フィラーが使われる。
なお、硬化したセメントの表面は、ジャンカや不陸、ひび割れが多いので、モルタルやフィラーにより表面を平滑化することになるが、その表面状態により、必要とする下塗材が500g/㎡~1200g/㎡までばらつき、見込んだ以上の量を使うことになるので注意する必要がある。