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作業計画 #4工事費の積算

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作業計画 #4工事費の積算

作業計画 #4工事費の積算

2021/12/02

#4工事費の積算

作業計画

塗装価格を見積る時に、個別に塗装面積を測定して積算すると、非常に手間がかかり、また、積算者による誤差が出ることがある。

一方、建物の大きさに対比して、塗装工事費 = {建築延べ床面積m} × {塗装単価円/㎡}で算定すると、簡便ではあるが実際の作業量との誤差が大きくなる。

わかりやすさ、簡便さを優先して、このような積算価格で受注をしたとしても、自社の体質強化を図るためには、原価の中身を正しく知り、実際の明細を把握し、原価の中身を正しく知ることに努め、自社の体質強化を図りつつ、できるだけ実際の工事量の内訳を見積りに反映させてゆくべきである。

なぜなら、下地処理等の表に出ない作業に工数がかかる場合、どんおり(総額)で見積っていると、他の業者と単純に総額を比較して高い安いを比較されてしまったり、後日、あの業者は高いという評判を植えつけることがある。

相手先のお客様は、10年後のリピート(見込み)客だが、近所や親戚が、明日のお客様になりうるので、誰が見積りしても、誰に見積りしても、第三者の納得する積算基準が必要である。

原価構成

塗料メーカーのカタログには、各塗装仕様に対応した設計価格が表示されている。

これらの価格は、通常、300㎡以上の施工規模を対象として設定されており、また、足場費用、養生費用や下地調整費が含まれていない。

当然のことながら、戸建住宅の塗り替えについては、事業の規模が小さく、施工規模も小さいので、この設計価格をこのまま適用できないから、原価を構成する次の要素を念頭において、自社の標準価格を設定する。

労務費について

労務費は、通常、{歩掛り}を基準にして算出する。
歩掛りは、1人・1日当りの標準作業量の逆数であらわすことが出来る。

  1. 下地補修費
    下地処理は、補修内容に差があるので、事前に現場調査を行い必要な工数を見込んで算定する。
    一般的には、鉄チケレン作業の歩掛りは、0.020~0.040と言われているが、特別なケレン作業や下地の修がある場合は、さらに多くの工数がかかる。
  2. 洗浄費
    一般的に下記の費用がかる。
    藻・かび等掻き落とし・殺菌作業 0.015 ~ 0.040
    チョーキングブラシ掻き落とし・高圧洗浄 0.013 ~0.020
  3. 塗装工賃
    例えば、塗り回数;1回 標準作業量 100 ㎥/日・2人の場合
    歩掛り = 1 / 50 = 0.02人/㎡
    労務単価 = 20,000円労務費 = {歩掛り}x{労務単価} = 20,000 × 0.02 = 400円/㎡となる。
    平均的な塗布能力が算定出来れば、単位面積あたりの工事費を算出することも出来る。
    労務費 = {労務単価} / {塗布能力 / 標準塗布量}
    例えば、日当20,000円の作業者がローラーや刷毛を使い1日1缶(15 kg) 塗装すると仮定した場合、塗布量0.3 kg/㎡ならば、労務費 = 20,000 円 / (15 kg ÷ 0.3 kg/㎡) = 400(円/㎡)と算定される。
    スプレー塗装の場合は、塗布能力を5割増しに設定される。

足場組立費

足場専門の業者に組立を委託する場合は、算定基準を取り決めておく。

本来ならば足場架面積をその都度計算すべきであるが、定常的に委託をする場合は、対象建物の延べ面積を基準にするとよい。

一般的な足場仮設費は、下記のような基準により算定される。

算定事例

  1. 足場架面積による場合
    足場費 = 足場架面積 x 1,200 ~ 1,400円/㎡ x 高さ
    場架面積 = {建物外周 + 8m}
    ※平均的な個建て住宅の高さ
    1階:3.5m 2階:36m 3階:8.5m
  2. 延床面積基準(例)
    140㎡まで
    足場基準価格 = 140,000 ~180,000円 / 棟140㎡以上
    10mごとに加算 20,000円/10㎡

材料費

  1. 主材料費
    主材料費は、標準塗布量と塗料単価により算出される。
    材料費 = {塗布量g/㎡} x {塗料単価円 / g}
    例えば、標準塗布量120g/㎡・回、塗料単価 20,000円 / 15 kg缶、 2回塗りの場合
    材料費 = 0.12 x 2 x 20,000 / 15≒320円/㎡と算定される。
    ただし、塗布量は、塗料の使用量として原価計算するのでロスも含んだものであり、被塗装物の形状や吸い込み性によって違いがある。
    実務的には、凹凸の激しい壁面の場合は、10~20%、吹き付け塗装の場合の飛散ロスは、30~50%程度にのぼるものと推定される。

副材料費

ローラー・刷毛・養生シート等の消耗資材や高圧洗浄機等の償却、損耗費等が積算対象となる。

現場経費と一般管理費

一般的に、見積書において、「諸経費」として示されており、下記の現場経費と一般管理費を加算したものと定義されている。

  1. 現場経費 = 労務管理費 + 租税公課 + 保険料+福利厚生費 + 事務用品費等
  2. 一般管理費 = 労務費 + 広告宣伝費 + 事務所家賃 + 交際費 + 雑費等

見積書は出来るだけわかりやすく費用の内訳を示せるものでなくてはならないが、諸経費は、相手先から説明を求められても明解に答えられず、いわゆる「値切り」対象になることもあるので、自社の算定基準を決めておくとよい。

事業規模が小さいので、概ね、施工費の3~5%が妥当な価格と思われるが、作業現場において、高額の駐車代金や近隣への挨拶料等が必要となる場合もあるので、事前調査を行って確認することも必要である。

塗装面積の算定

外装部の各部位ごとに塗装面積を算定する。
軒天・雨樋・水切り・シャッターボックス・雨戸等の部位については、予め、部位別に自社の基準塗装単価を定めてその数量を積算する。

外壁部分

外壁面の場合、下記の計算式で算定するのが妥当と思われる。
外壁塗装工事費 = {実塗装面積 ㎡} x {塗装単価 円/㎡}
塗装面積は、外壁全体の面積からサッシ、玄関ドアー等の開口部やタイル壁等を貼り付けた非塗装部分の面積を除いた実塗装面積を算定する。
実塗装面積 = {1階部分の長 x 1階部分の高さ}+ {2階部分の長さ x 2階部分の高さ}- {開口面積}= L1 x H1 + L2 x H2 + L3 x H3 / 2-A
なお、塗装しない開口部Aについて、個別の窓の寸法を測定して面積を算定することは、煩雑なため、開口の種類別に窓の数を勘定して概算することにより簡素化する。

屋根部分

屋根面の塗布の場合も、部材、塗装仕様別に面積を計算する。折板のように異型断面の場合、塗布面積は折板の面積に対して、係数(1.4~1.7)を掛けて算出する。

また、傾斜屋根の場合は、断面係数と共に、屋根勾配を確認して、伸び率を掛けて算出するが、複雑な屋根形状の場合は、屋根伏図を想定して、次のように算定する。

屋根塗装工事費 = {塗装面積㎡} x {塗装単価円/㎡}
実塗装面積 = {1階床面積×伸び率) -「屋上バルコニー面積} - 開口面積 + 軒面積

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