機能で広がる塗料の用途 塗料の基礎知識2 汚染物質を分解する
2021/06/15
汚染物質を分解する
機能で広がる塗料の用途 塗料の基礎知識2
日本発の注目技術、光触媒塗料
光触媒は日本発の注目技術です。
1972年に酸化チタンの光触媒反応が本多・藤島効果としてネイチャー誌に発表され、大きな注目を集めました。
酸化チタンは白色顔料として良く知られた材料ですが、この光触媒効果によって新たな用途が急速に拡大しています。
では酸化チタンの光触媒効果とはどのようなことでしょうか。
酸化チタンは熱や光によって半導体になります。
酸化チタンに380ナノメートル以下の波長の近紫外線が当たると、そのエネルギーによって酸化チタンは電荷分離し、電子e- とその抜けた孔である正孔h+を生じます。
正孔は強い酸化力をもち、酸化チタン表面で水によってできた水酸基 (OH基)と反応し、ヒドロキシラジカル (・OH)を生じます。
また、電子は強い還元力をもちスーパーオキサイドアニオン (O₂-) を生じます。
これらは強力な反応活性を持っており、表面の吸着物質と反応して分解します。
これが光触媒効果です。
例えば、タバコのヤニ、アミンやアルデヒドのような悪臭物質、NOxを分解し、かび、大腸菌などに抗菌作用をもたらします。
また、酸化チタン表面は非常に親水性(以前ブログに掲載)ですので、耐汚染塗料としても大変有効です。
ところで光触媒にはアナターゼ型の結晶構造の酸化チタンが用いられますが、塗料化する際に通常の有機ポリマーを用いますとポリマー自身が酸化チタンによって分解されてしまいます。
そこで水ガラスやシリコーン系、テフロン系などの分解されにくいバインダー(結合剤)が選択されます。
特にシラノール(Si-OH) やアルコキシシラン (Si-OR) を反応させて得た無機バインダーが有力です。
また、チタンのアルコシド (Ti-OR) やその水との反応物であるチタニアゾルを用いてガラスやタイルにコーティングし、焼付ける手法も大変有効で、紫外線が当る環境でさえあれば光触媒は有効に機能します。
要点としては、
- 酸化チタンの光触媒は日本発の技術
- 汚染物・ガスの分解、抗菌等に有効
- 塗料化のポイントはバインダーの選択
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