塗る前に大事な素地調整 塗料の付着に不可欠な素地調整作業
2021/07/31
塗る前に大事な素地調整
塗料の付着に不可欠な素地調整作業
君の瞳は、10秒に1回程度の割合で瞬きをしています。
そのたびに瞳の表面に水が補給され、その上を素早く油が濡れ広がり、ドライアイを防ぐ役目をします。
塗料は被塗物表面にしっかりとくっつくことが必要です。
そのためには瞳の水面に油が素早く濡れてゆくように塗料はまず、被塗物表面に濡れ広がることが大切になります。
被塗物表面が汚染されていると、例えば、金属や プラスチックならば油や離型剤が残っていたり、木材ならば毛羽が残っていると、濡れが悪くなり付着障害や美観不足になりかねません。
そこで、被塗物 表面を塗装できる状態、すなわち、塗料が均一に塗 れ広がるように調整することが、塗装の第一歩です。
この作業を素地調整と呼びます。
金属の素地調整方法をまとめて示します。
大型船も、塗替え前には被塗物の隅々まで鋼球を高速で叩きつけ(ショットブラストと呼ぶ)さびや海洋生物などを除去します。
さび取り作業をケレンと呼びます。
クリーンがなまってケレンになったそうです。
車やブレコートメタル(PCM)の素地調整には、りん酸亜鉛化成処理と呼ばれる表面処理が行われます。
表面処理液中に鋼板を浸せきすると、鉄の一部は処理液中に溶けて、酸化・還元反応で化成皮膜が形成、熟成されて、鉄表面は細かくち密な結晶(化成皮膜と呼ぶ。
2.5g/㎡以下が良い)で被覆されます。
この処理で塗料の付着性と防せい性が向上します。
表面処理は一般に、示す工程で行われます。
木材の素地調整では毛羽を除去するために水引き研磨を行います。
温水で表面を湿らせ、乾燥後に毛羽立った所を逆目から研磨して取り去ります。
この他、加工時の刃物による鉄汚染の除去や漂白(ともに、薬品処理で修正)、打痕の修復(アイロン当て)など、他の素材にはない素地調整作業があります。