色々な塗装 船舶を塗る
2021/08/19
船舶を塗る
色々な塗装
日本は四方を海に囲まれ、船は交通、交易手段として日本の歴史に大きく関わってきました。
現代においても、石油、鉄鉱石、殺物などの資源を輸入し、車に代表される工業製品を輸出するように、船舶はわれわれの生活に欠かせない重要な乗物です。
造船技術は古くから発達し、その技術レベルは塗料、塗装も含め世界をリードしています。
大型船の建造は、船体をいくつかのブロックに分けて工場内で作り、それを船台やドックに運んで組立て、溶接して一体化します。
よって、塗装もブロックごとにどの段階まで行うかをあらかじめ決めておき、船全体が組み上がってから最終仕上げを行います。
船舶は海上ゆえに厳しい腐食環境下にあります。
船底部は常に海水にさらされ、吃水線・外舷部は過酷な乾湿交番作用を受けます。
甲板部や上構部も潮風、波浪、太陽光線を受け、とくに甲板部は機械的損傷を受けやすい箇所です。
上構部は外舷部とともに外観上目立つ部分なので美観の保持が必要です。
機関室は高温多湿になりやすく、油類のかかる場所であるため、耐熱・耐油性が要求されます。
このように塗装で保護と美観を達成しなければならないため、耐水、耐塩水性に優れた変性エポキシや塩化ゴム、油変性アルキド塗料が各部位に使用されます。
船の塗替えは船底塗料の寿命で決まり、通常は2~3年でドックに入ります。
塗装工程は、水洗→ショットブラスト→さび止め塗料→中塗り(サーフェーサー)→上塗り (赤と黒)の順に進みます。
船体の長さ250 mの液化石油ガス(LPG)タンカーの場合では、上塗りの黒エナメルを4人で、5~6時間で仕上げます。
ポイント
- 厳しい腐食環境下におかれる船舶の塗装
- 安全で経済的な航海のために必要な塗替え
- さびに強くて作業性の良い塗料の選択