有限会社ステップリフォーム

『柱だけ太くてはさまにならない』

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『柱だけ太くてはさまにならない』

『柱だけ太くてはさまにならない』

2021/02/27

『柱だけ太くてはさまにならない』

お施主さんの中に、よく、「多少、金がかかっても、柱だけは太いものを使ってください」という方がある。

確かに、柱が太くなれば、構造のうえからは丈夫になるに決まっている。

先だっても、公庫仕様の相談会があって、その席で、大学の建築関係の先生から、「柱を太くしたらどうか」と提案があった。

だが、柱を太くすれば、必然的に鴨居から、天井の回り縁から、全部が大きくならなくちゃ、格好がとれない。

そうなると、非常に金がかかる。

そのあたりが先生方にはわからないから、柱だけのことでおっしゃる。

特に和室は柱を見せる真壁が多いから、バランスがとれないとまずい。

柱だけ太くて、ほかの造作材が細くては、見てくれが悪い。

だいたい、柱を太くすれば、それだけで丈夫になるという、短絡的な考え方もちょっと気に入らない。

柱はただ太ければよいというものではないのだ。

それより、性(しょう)のよいものを選ぶことこそ大事だろう。

どんなに太くても、白太では力がない。

柱の癖をのみ込んでうまく使いこなせば、太さ細さに関係なく、力を発揮させることができるものだ。

例えば、通し柱。

できれば癖のないものを使うのが常道だが、まったく癖のない柱などはない。

山にあるときに、日なたに面した部分と日陰の面では当然生育具合が違う。

製材してからでもその癖はもっている。

ちょっと見には、どの柱も真っ直だが、よくよく観察すると、わかるかわからないかぐらいの微妙さだが反りがある。

そんなときは、反ったほうを互いに向かい合うように立ててやる。

こうすると、四隅の柱同士が引っ張り合うので、丈夫になる。

柱を仕入れるとき、私らはそんなところを計算に入れて、通し柱にうってつけだと思う柱に目をつける。

これは、もう棟梁の経験というかセンスでしかないのだが……。

が、そんな芸当を若い者に要求するのは無理かもしれぬ。

昨今の大工は、木をじっくり腰をすえて眺めることをしなくなった。

だから、いつまでも木の性がわからない。

件の大 大学の先生と同じで、太ければ丈夫だろう、という考えだ。

「よくせき、木を見なくちゃいけない」若い者に、毎日、口がすっぱくなるほど言っている。

木をじっくり眺めれば、木の力を存分に発揮させるにはどうしたらよいか、おのずとわかってくるものだ。

削りも大事だ。

釘打ちも大事だ。

しかし、大工なら木を知ることのほうが、さらに大事だということを忘れてはならぬ。

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