環境対応型塗料を理解しよう!
2021/04/06
環境対応型塗料を理解しよう!
塗料は塗装というプロセスを経て塗膜になり、はじめて最終製品になります。
薄く塗り拡げて、しかも液体から固体に相変化させる材料は他にあまりありません。
科学的な視点から見ると、被塗物表面を塗料が分子オーダーで濡らすには、流動性と表面張力の要素を制御していかねばなりません。
塗料の表面張力が被塗物表面のそれに比べて大きいとミクロな濡れを達成するのは難しくなります。
塗料・塗装の歴史を紐解くと、古くから流動できるビヒクル成分に用いられてきたものは油と漆です。
よくぞ植物から塗料原料を見つけ出してきたものだと先の知恵には脱帽です。
油の化学構造をモデルにして、現在の合成樹脂が開発されました。
出発点は油だったのです。
油の分子量は約880で、油を重合してもまだ、十分に流動性があります。
化粧品や接着剤などすべてのコーティング材(剤)の流動性も油をモデルにしています。
油は流動しやすく、表面張力が多くの被塗物を濡らしゃすいレベルにあり、顔料分散にも、塗装作業にも都合の良い性質を持った材料でした。
ところが、20世紀後半に入って環境問題は、人類の最大課題の一つになっています。
塗料・塗装分野では何といっても有機溶剤の削減が最重要課題です。
この対応として、ハイソリッド・無溶剤、水性、粉体塗料への転換が進められています。
とりわけ、リーディング・カンパニーである自動車業界の対応は水性焼付け塗料にシフトしており、金属製品業界も同様ですが、工業塗装ラインでは粉体やUV塗料への転換も同時進行で検討されています。